刀真の話

「刀真は私が創った。」・・・なんて言われた事がある。

正しく言うならば、彼の子は自分が創った子ではなく、「創作の世界からやって来た」という事になるのだ。

紅い短刀を片手に、黒い髪のショートカットと柘榴色の瞳、半袖ジャージを着た少女──。

刀真と言う少女と出会った切っ掛けは、私の学生時代に遡る。

友達に囲まれて、穏やかだった日常。

自分は絵を描くのが上手くて楽しい時間を過ごしていた。

未来ちゃんや山本くんに虐められた時には、お母さんに如何しても伝えたかった。

でも時は遅し、学校を卒業しカノンに就職する時は言えなかった。

人間の黒い部分、自分が虐められた時の息苦しさ、お母さんにいじめの事を伝えられなかった後悔、そして心の奥底にある溢れ出る傷。

もう耐えられなくなった私は、自殺しようと思った。

この世から消えたいと思った。

でも死ぬのは怖かった。

「もうちょっとだけ生きたい」と。

だから刀真を描いた。

刀真のイラストを初めて描いた記憶は、今でも覚えている。

私の知る刀真は──当時名前なんて無かった半袖ジャージの少女が、私のとって知る全てである。

全部、真っ赤なんだ。

SCARLET&VERMILION

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